かつて世界を席巻していた日本の半導体やスーパーコンピューター、基礎科学技術。その存在感が近年揺らいでいるというニュースを目にする機会が増えました。
その背景にはさまざまな要因がありますが、社会全体に広がる「失敗を過度に恐れる姿勢」や、短期的な成果ばかりを求める風潮も、その一つではないかと感じています。
失敗を避け、目先の数字や前例に頼る姿勢は、産業界だけでなく、教育の場にも影響を与えているのではないでしょうか。
看護は、人の命や健康に関わる仕事です。そのため臨床の現場では、安全確認や手順の遵守が何よりも求められます。
しかし、医療安全を大切にすることと、学ぶ場での挑戦を恐れることは同じではありません。
もし学ぶ場で「間違えないこと」「減点されないこと」ばかりを重視してしまえば、自ら考えるよりも、指示を待つ姿勢が身についてしまいます。
これからの医療現場は、少子高齢化、医療技術の高度化、AIの進展など、これまで以上に変化の大きな時代を迎えます。
そして、患者さん一人ひとりの思いや生活は、決してマニュアルだけで理解できるものではありません。
だからこそ、自ら考え、対話し、状況に応じて柔軟に判断し、試行錯誤する力が必要になります。
本校は、**「安心して挑戦し、失敗から学べる場所」**でありたいと考えています。
講義やグループワーク、シミュレーション実習の中で経験する小さな失敗や迷いも、すべて大切な学びです。
なぜうまくいかなかったのかを振り返り、仲間と考え、もう一度挑戦する。
その積み重ねの中でこそ、看護実践力と、変化に向き合う柔軟な心が育っていきます。
短期的なテストの点数や要領の良さだけにとらわれず、時間をかけて人として成長し、変化を恐れず、自ら考えて一歩を踏み出せる力を育てること。
それが、私たちが目指す看護教育です。
失敗しないことを目指すのではなく、失敗から学び、次の行動をより良いものにしていく。
温かく、柔軟で、確かな看護を届けることのできる看護師へ。
失敗を恐れず、自らの可能性を信じて一歩を踏み出す学生の皆さんを、私たちはこれからも支えていきたいと思います。
